釣り日記

深夜の恐怖体験 2匹の怪魚と破れたタモ網

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こんばんは。笹目釣人です。

今夜は先日私が体験したことを、いつもとは少し違うテイストでお届けしたいと思います。

まさか、あんなことになるとは…

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抜けないバチと釣れない魚

季節は春。
この時期、日が沈んだ頃にはバチ抜けという現象が起こり、川の魚は狂喜乱舞する。
スズキ、いわゆるシーバスのルアーフィッシングにおいて、バチ抜けとはシーバスが最も釣れるイベントの一つであり、アングラーにとってのお祭りだ。

そんなお祭りを目前にして、私は焦っていた。

この日は大潮の最終日。
あたりは暗闇に包まれ、上げ潮で逆流していた川の流れも下げに転じ始めている。
バチが抜け始める頃合いである。

川辺でどのルアーを投げるか悩む…と状況が望ましいが、私は自宅のキッチンで皿洗いをしていた。
仕事を終え、子守りと家事がひと段落してから釣りに出かける、それが子持ちアングラーの常だ。
バチ抜けの時合に間に合わないのは宿命ともいえる。

釣り場に着いたのはバチ抜けの時合をやや過ぎた時間帯。
そっと足元の水面をLEDライトで照らすが、バチは見当たらない。

時合を逃したのか、そもそも抜けなかったのか、いずれにしてもシーバスを狙ううえで好ましい状況ではない。

「今日も厳しそうだな…」ぶつぶつ言いながら竿を振る。
ルアーは実績の高いのマニック。
ともすればバチの幻影を追う魚に巡り会えるかもしれない。
言葉とは裏腹に、僅かな期待が行動に現れている。

しかし現実は厳しい。
2時間経ってもあたりは一つもない。
耳元で聞こえるラジオの野球中継では、日本の大勝を祝っている。
大して野球好きというわけでも無いが、かすりもしない自分の状況と照らし合わせると日本の選手の活躍は喜ばしい。

一匹目の怪魚

自転車をこいで別のポイントへ向かう。
真っ暗な河川敷から路地へ出てくると、街灯の明かりにほっとする。

街灯を頼りに進み、目的のポイントに到着。
大して釣れるポイントではないが、地元では人気が高い。
今日は私が独り占めだ。

再度タックルの準備をする。
その合間に捨てられたダイソーのルアーパッケージを拾う。
ダイソーに罪はない。安価で未経験者にも釣りをしやすい製品を提供しているのは素晴らしいことだ。
しかし未経験者は釣りに対する愛がなく、このように平気でゴミを捨てていく。私からするとけしからんことだ。
繰り返すがダイソーに罪はない。

ルアーボックスからマリブを取り出す。
40m先にあるストラクチャを狙ってロッドを振り抜いた。ところが、かなり手前に着水した。
向い風にルアーが押し返されているのだ。

マリブでは届きそうにないので、ボックスからオニマルを取出す。
向かい風を無視して直線的に飛んでいくオニマル。無事目標地点に着水した。
ブルブルっと小気味よく震えながらオニマルがこちらに泳いでくる。ゴツゴツっと手元に伝わってくる感覚からすると、恐らく川底の泥を巻き上げているだろう。

ぬっと何かに引っかかった。

ゴミを引っ掛けたか、コイに引っ掛けたか…
リールを巻く手を止めると、ぐぐぐっと引っ張られた…
どうやら後者のようだ。

このポイントはコイの魚影が濃くスレ掛かりは日常茶飯事。
だが次の瞬間、いつもとは違う暴力的な引きに戸惑うことになる。
大型犬に引っ張られているかのようににロッドはのされ、ドラグが出っぱなし、全く止まる気配がない。

その間もラジオが耳元で私に語りかけてくる。私はお笑い芸人のラジオが好きだ。私にユーモアがないからか、おもしろい話に憧れのようなものがある。
だがこのあと、自分の好みとは対照的な某タレントのつまらないトーク番組をまるっと一本聞かされることになる。ラジオのチャンネルを変える余裕は全くなかったのだ。

上腕に乳酸が溜まりきった頃、ようやく川の主は足元まで寄ってきた。

私の想像では掛かったのは巨大なコイ、もしくはハクレンだった。
しかし薄暗い水面に浮かび上がったシルエットは、むしろシーバスに近かった。
その細長い魚体の尾びれ付近にオニマルのフックが掛かっていた。

コイなら水中でどうにかフックを外して別れを告げるが、見たことのないその魚を前にとりあえず捕えてみることにした。
タモを伸ばし、魚を誘導してくる…
おかしい、タモがいつもより小さい。
魚がタモ網の中に納まるイメージがまるでわかない。

頭から覆いかぶせるようにタモ網で魚をすくってみる。
魚体の半分以上はタモからはみ出ていたが、無理やり押し込んでなんとか収まった。

水面から引き上げようとするのだが、重過ぎて上がらない。
タモのフレームを持って、背筋をフルに使って持ち上げ、ようやく陸に上げた。

これは…おそらくソウギョだ。

いや確信はなかったが、この顔つきと魚体からして、大陸から来たものに違いない。

スレ掛かりなので釣果にはカウントしないが、一応サイズを測る。
116cm。
あまりの大きさに少し恐怖感を覚えた。

記録用の写真を撮って、すぐに川に返した。
これがシーバスなら泳いでいくまでに相当時間がかかったはずだが、この魚は何事もなかったかのように泳いでいった。

二度現れた怪魚

喜びと驚きと虚しさが入り混じったような、なんとも言い難い感情に包まれていた。
だが、シーバスを釣りたいという感情が勝っていた。
釣りを続ける。

リーダーを指でなぞって傷がないか確認する。大丈夫そうだ。
フックも問題なさそうだ。

再びオニマルをキャスト。
先程と同じコースを引いてくる。

すると、あろうことかさっき返してやったばかりのソウギョが水面に上がってきてオニマルを一瞥してきた。
そもそもソウギョは名前の通り水辺に生えた草を主食としているはずだ。
しかし、ここには草も水草も一切生えていない。
エサになりそうなものといえば、ボラの幼魚であるハクぐらいだ。
空腹のあまり、肉食に転身したのだろうか。
だが、ソウギョをルアーで釣るなんて聞いたことがない。
きっと気のせいだ。たまたま顔を上げた先にルアーがあったということに違いない。

気を取り直してオニマルキャストする。

40m先から直線的に泳いでくるオニマル。
先程のファイトのダメージが残っており、腕がまだ重い。

ゴンっ

反転しながらルアーに食いついたような、はっきりとした振動が竿から伝わってきた。
シーバスに違いない。

瞬時にロッドを立てて合わせを入れる。
グンっと重みが乗って竿先が曲がる。
その瞬間、水面が割れて激しく水しぶきが上がった。

シーバスはルアーに食いついた後、エラ洗いという行動をとる。
頭を激しく左右に振りながら水面からジャンプするのだ。
だがいましがた目に入ったのは、シーバスのそれではなかった。
むしろ、昔品川で見たイルカショーのイメージに近かった。

嘘だ、違うと言ってほしい。そう思いつつリールを巻く。
かなり重い。
だが先ほどの主と比べると明らかに素直だ。
抵抗はするもののこちらには寄ってくる。

5分後。
足元に見えたシルエットは1mを超える怪魚だった。
今度は口元にフックが掛かっていた。
もう訳が分からない。

混乱状態のままタモを取り出す。
先ほどと同じ要領で、頭の方から無理やりタモの中に収めた。

タモフレームをつかみ、背筋で持ち上げる。
間違いなくソウギョだった。
だが、先ほどの主より腹がでっぷりとしており、一回り大きく見えた。
なんと別の個体である。

腕をブルブル震わせながらなんとか持ち上げると、タモからミシミシっと聞いたことのない音が聞こえた。
ソウギョの鼻先がタモ網を突き破ってはみ出している。
許容重量を超えて網が破れたのだ。
すると、破れた網隙間からソウギョがぬるっと抜け出した。
まるで、昔テレビでみた牛のお産のようだった。

ソウギョはボトっと地面に落ち、びったんびったんと暴れて自ら川に返っていった。

タモ網は破れ、フレームは曲がり、おまけに粘度の高い液体がまとわりついていた。
とてつもない疲労感が襲ってきて、その場に座り込んでしまった。

しばらくしてから、道具を片付け帰路に就いた。

もうこりごりだ。二度とこんな経験はしたくない。
自転車をこぎながらそう思った。
だが一方で、ソウギョって狙えばルアーでも釣れるんだろうか…と考えていた。

ものすごい矛盾に自分でも少し笑ってしまった。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

最終的に釣果ゼロの釣行記録を、無駄に引き延ばして記事にしてみました。

ちなみにタモですが破れた部分をフロロラインで無理やり縫い合わせて、今でも使っています。
フレームも曲がってしまいましたが、なんとか使えそうです。
実際このボロボロのタモ網をつかって一匹釣り上げたので、おそらく問題ないでしょう。

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みなさんもソウギョが釣れたらタモをぶち破られないようにお気を付けください…


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